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NO.10618338

同性愛者の方いらっしゃいますか

38 名前::2022/08/18 03:46

LGBTには「生産性」がある 動物行動学研究家、エッセイスト・竹内久美子
2018/8/1 11:30

 このところ、杉田水脈衆議院議員の「LGBTは子を産まないので生産性がない」という主張が物議をかもしている。Lはレズビアン、Gはゲイ、Bはバイセクシュアル、Tはトランスジェンダー(体と性が一致しない人)の略である。

 まず私の立場を明らかにしておくと、LGBTの人々を過度に持ち上げることには反対だ。なぜなら、過度の持ち上げとは彼らを差別し、特別扱いしているがゆえの行為だからである。

 そして私が彼らを差別することも、特別扱いすることもないのは、彼らが生物学的に何ら特別な存在ではないからだ。

 ≪同性愛に関わる遺伝子は残る≫

 何万人に1人という割合で存在するトランスジェンダーは、確かに稀(まれ)な存在かもしれない。しかし、ゲイもレズビアンもバイセクシュアルも少しも珍しい存在ではない。人種や民族、時代、文化などとは関係なく、ゲイは男性の4%くらい、レズビアンはその半分の2%くらいの割合で存在する。バイセクシュアルについては男性で十数%というデータもある。

 進化論の分野ではその存在がだいたい1%を超えるのであれば、何らかの意味があるからこそ存在すると考える。だからゲイもレズビアンもバイセクシュアルも、大いに存在意義があるはずなのだ(さらにLGBは人間特有ではなく、哺乳類界に広く存在する)。

 しかしここで問題にされるのはゲイやレズビアンといった同性愛者が、自分では子をつくらないのに、つまり「生産性」がないにもかかわらず、なぜ常に一定の割合で存在するのかということだ。

 もっとも、もし本当の意味で「生産性」がないのなら、彼らはとっくの昔に消え去っているはずなのである。彼らは一見「生産性」がないように見える。しかし何らかのルートで自分の持つ遺伝子、特に同性愛に関わる遺伝子を残しているのである。

 こういうふうに個体だけを見ていても理解できない問題を解くカギは、その個体の血縁者にまで視野を広げるということである。

 ≪覆された「ヘルパー仮説」≫

 そんなわけで1970年代に同性愛者は血縁者、つまり血縁の近さに応じた確率で自分と共通の遺伝子を持つ者の繁殖の手助けをすることで自らの遺伝子を間接的に残しているのではないかという考えが登場した。ヘルパー仮説だ。

 鳥などでは巣立ったものの自分の縄張りを構えることができなかったオスが、両親の次の繁殖で生まれたヒナの世話をすることがある。何もしないよりは、自分の弟や妹の世話をして自分の遺伝子を間接的により残そうとするわけである。こういうオスをヘルパーと言い、人間の同性愛者もヘルパーとしての役割を持っているのではないかと考えられたわけである。

 ヘルパー仮説は長らく有力仮説だったが、2001年になってようやく本格的に検証されるようになった。アメリカ、ノースウェスタン大学のD・ボブロー氏とJ・M・ベイリー氏は男性異性愛者と男性同性愛者のグループを調べ、どれほど血縁者と会ったり、電話をしたりするなどの交流があるか、甥(おい)や姪(めい)などに金銭や物をよくプレゼントするかなど、男性同性愛者が本当に「ヘルパー」としての役割を果たしているのかを検討した。すると、何と男性異性愛者の方がむしろ血縁者のために尽くしているという、逆の結果が表れてしまった。男性同性愛者は「ヘルパー」ではなかったのである。
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