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秀才くんと深海魚くん。
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1 名前:深海魚の母:2016/10/30 19:35
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本当の話ですが、正直、小説みたいです。
ちょっと書きたくなって。
そんな感じですが、「読んであげてもいいよ」という方のみでお願いします。
今、我が家には、うちの息子が通う中学校で、一番の秀才くんと、
海の底をさまよったきりの深海魚くんがいて、ふたりでゲームをしている。
もちろん、深海魚くんの方が私の息子だ。
学校一の秀才くんは、学校二の優等生くんと小学校以来の友達関係だったそうだけど、
優等生くんは、この頃、秀才くんと距離を置くようになった。
それで、取りあえずは同じクラスということもあってか、
ここ数か月来、秀才くんは、うちの深海魚くんと遊ぶようになった。
成績としては両極端に位置するふたり。
秀才くんの成績に、深海魚な息子のおバカが影響したらどうしよう?
などと、私は心配してしまったのだけれど、
秀才くんは学校一をキープし続け、
うちの息子も残念ながら深海をキープし続けている。
深海魚でもリュウグウノツカイのようにたまには浮上してと願う私は、
秀才くんからの影響を、息子も少しぐらい受けて欲しいと思う。
しかし我が家は夫婦そろって学歴もなく、
そこから産まれた息子も頭のデキが違うの一言のようだ。
夫は、名前だけは研究所風の所に勤めていたが、実態はオタクの集団で、
ある日、夫はその仕事に見切りをつけ退社。実家の家業を継いだ。
美味なるコシヒカリ米を目指し、額に汗して畑でいそしむ毎日だ。
秀才くんのご家庭は、旦那様は見たことがないので知らないけれど、
お母さんはとても物静かそうな人で、ぼっちでいる姿をたまにお見かけする。
先日、ご挨拶がてら少しお話をさせてもらったら、
秀才くんが我が家に来ることにご丁寧な御辞儀と御礼を述べられた。
秀才くんは雰囲気もお顔立ちも、そんなお母さんにそっくりだ。
「学校一番の秀才くんがうちに遊びにくるなんてね〜」
ある日、深海魚の息子にそう言ってみたら、
「おれとは似合わないって言いたいんだろ? でも遊びに行きたいって言われたら嬉しいじゃんか」と、言う息子。
「優等生くんと何かあったのかな?」と言ったら、
「そこはツッコむべからず! 立ち入り禁止領域!」と言われ、
まずい私は聞き過ぎたと思い、息子にはそれ以降聞かないことにした。
でも秀才くんが優等生くんと仲違いをしてしまい、
優等生くんとその友達から苛めのような行為をされていると、
先日、ママ同士の噂の一環で耳に入って来てしまった。
どうやら優等生くんは、表立っては優等生なのだが、
内実は優等生らしからぬことを画策する子のようだ。
うちの子も昨年、部活動で先輩たちから酷い苛めに合った。
追い詰められチック症状まで出た息子を見るのが本当に辛くて、
中学校側へ必死に食いついて何とかしてもらった経緯がある。
息子の苛めを見て見ぬ振りをし、話があってものらりくらりかわしてばかりいる部活動の顧問に、
「それがあなたの教育なのか!」と夫が切れた。
「生徒のことを真面目に考えなさい!」と同席した学年主任も切れた。
苛めがあっても、何も思わない何もしない大人がいるということを、うちの息子は知ることになった。
そう、これがリアルな大人の世界の一端なのだと。
深海魚くんにも深海魚くんなりの苦悩があって、
秀才くんにも秀才くんなりの苦悩がある。
秀才くんの方が理解度が高い分、その幅も深さもありそうだ。
どちらもスタンスは違うし、モチベーションもぜんぜん違うけれど、
でもそれぞれに悩んでいる箇所が今、同じなのかもしれない。
急に生じてしまった傷を、分かり合える者同士で、
無意識に労わり合っているのだろうか?と思ってみたりもする。
我が家には年の離れた弟がいて、その弟が嬉しそうに、
「秀才お兄ちゃんに勉強教えて貰った! 秀才お兄ちゃん凄いんだよ、いろんなこと知ってるの!」
と、感激したといった風に私のところに来て言った。
せっかく遊びに来たのに、弟の勉強見てくれたなんて申し訳なくて、
「ごめんね、弟が邪魔しちゃったみたいで。でも凄く喜んでいたの。ありがとうね」と言ったら、
秀才くんはちょっと照れくさそうに、
「・・僕、お姉さんいるけど苦手で、下の兄弟もいなくて、家より楽しそうで羨ましいです」と小声で言った。
「ふたりの都合が合うなら、いつでもうちで遊んでいいよ」と私は息子に言う。
深海魚くんは「了解でーす!」とふざけたように言う。
互いの部活動や塾の予定で、一緒に遊べる日はもともと少ない。
それに進学先の違いから、ふたりは確実に離れ離れになるけれど、
こういう日々を本当に大事にしていって欲しいと、強く思わずにいられない。